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58.『夏の白昼夢』
自宅の洗面所の排水管が詰まったようで、一向に水が流れなくなってしまった。
一昨日から顔や手を洗うのは台所か風呂場になってしまっている。
不便極まりない上に、業者が修理に来れるのは平日しかないとの事で、暇な学生の僕が修理立会いを命じられた。

修理に来た作業員は20代の若い長身の男だった。帽子を目深に被り顔は判らなかったが、何となく整った容姿をしているのだろうと漠然と思った。
「家族は女性が多いですか?」
え?あ、・・・どうしてですか?
「長い髪の毛が沢山絡まってますね。」
そういいながら工具を器用に使い排水管の髪の毛を取り除いていく。

洗面所は冷房が届かずとても蒸し暑く、男は汗をかいていた。その汗が頬を伝い顎から滴り落ちるのを見た瞬間、僕は唐突に欲情した。この男の匂いが漂う狭い洗面所で、組み敷かれて喘いでいる自分を想像し、思わず目が眩みそうになった。

作業を終え工具を器用に仕舞いながら男は、
「折角なんですが、生憎この後も仕事で・・・。残念です。」
と云い僕の頬に触れた。

何だ?何が起きたのだろう?これは白昼夢なのか?
男が居なくなった玄関先で、僕は呆然とし立ち尽くしていた。
# by egodance0254 | 2015-06-23 15:14 | threshold.
10年目の舞台
ご無沙汰しております。

もはや、どれだけの人がこのブログをご覧になられているかわかりませんが、
自分にとっての備忘録として残したいと思います。



平成25年12月8日
「三十周年記念公演 椿の会」@川崎教育文化会館


久々の大きな舞台。
約5年ぶりとなる、化粧・かつら・衣装を着け、地方(生音生歌)での舞台。
出演させていただきました。

演目は「供奴」。

とても激しい踊りなのですが、激しい=振りが多いということで、
覚えるだけでも大変でした。
しかも、仕事に関しては2年前に忙しい部署に異動してしまい、
平日、自分の時間すら取ることもままならない生活の中、
自分でもよくやり切ったと思います。

踊りを始めて、10年目。
たまに、「なんで俺、こんなことしてるんだろう・・・・」と漠然と思うこともありました。

以前は役者を目指していましたが、
今は何の変哲もない普通のサラリーマン。
踊りなど無くても生きていける。
なのに、何故、僕は踊るんだろう・・・。

実はこの10年間、ずっと考えていたことです。

将来、舞踊家になりたい。
将来、人に踊りを教えたい。

そんな事、思ったことも無い。

でも、僕は踊っている。
そして多分10年後も踊っていると思う。
うん、漠然とそう思う。

全く自分にとって説明がつかないけれども、
ただ、舞台に来てくれた友達の暖かな言葉や
姉弟子の直向きで透徹した涙を僕は一生忘れない。

踊ることで、人に少しでも何か与えることが出来る事は判ってる。
そして僕は今のところ、その方法しか持ち合わせていない。

なら踊ってても良いんじゃないか?
答えなどなくても、僕は10年も踊れたんだ。

ただ、その事実だけで十分だよね。


でも、いやはや疲れた。
本当に疲れ果てた。

でも、存分嫌でもない疲れなんだ・・・。
# by egodance0254 | 2013-12-10 20:21 | miscellany.
57.『生きていると云う事』
ベランダ越しで本を読んでいると一匹の蝉が網戸に止まった。
鳴くでもなく、動くでなく、じっとしている。
リビングでは明美姉さん午睡をむさぼっている。
エアコンのついていない部屋は、風が通るが暑い。
明美姉さんの額に汗が浮かんでいるだろう。
午睡をしている明美姉さんを邪魔するとろくなことがない。
僕は、蝉と二人でいることにした。

命はどれくらい?
「あと二日。」
日の下の人生ももう斜陽か。もう木に止まる力もないのか?
「ない。せめて土の上で死にたい。」
死に場所の我が儘くらいは言いたいか。
「子供のオモチャにされるか、車の下敷きになるか。人に踏みつぶされる事もある。」
そうだなぁ。人生もそれと変わらないよ。人も蝉も他の生き物も変わらない。自分の思い通りになる生き方なんかどこにもないよ。
「ならお前にすがるのも違うかな。」
違うかも。ここはコンクリートばかりの都会だ。土もない。君が死んだら僕は君の死体をここから下の植え込みに投げるつもりだ。
「そうか、なら飛ぶかな。どこまで行けるかわからないが、自分で出来る限りの事はしよう。」
それがいい、それが生きているってことだ。

夢から覚めると蝉はいなくなっている。
# by egodance0254 | 2013-09-04 20:04 | threshold.
蒼然の向こうはやはり明るそうだ
前回より半年。
また証拠にも無く踊ってしまいました。


蒼然の向こうはやはり明るそうだ_d0059462_2222142.jpg


半年かけたものが、5分で終わる潔さ。
最近、それが快感なのかもと思えてしまう始末。


蒼然の向こうはやはり明るそうだ_d0059462_22221657.jpg


日舞を始めて、なんだかんだで8年目になります。
生来、感覚的に物事を捉えがちなので、
頭であーだこーだ考えるのは苦手な性分。
今は、師匠の教えを守って稽古することだけを心がけていて、
それでもなかなか思い通りにいかない自分に歯痒さも・・・。



きく作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても もとを忘すな


“守破離”の精神は茶道のみならず、
古典全てに云えることなのだと実感。
兎にも角にも、今は“守”なのだなと・・・。


今回の舞台は、自分含め兄・姉・妹弟子の若手4人が出演。
皆、本当に素晴らしかった。

人生は当社比でしか語れないと常々思っているものの、
やはり皆の切磋琢磨する姿は刺激になります。
“巧くなりたい”と云う気持ちがそれぞれ静かに心の中にあって
それが連鎖していく感覚が判るのです。

兎に角、最近、純粋に踊ってって楽しい。
また数年前のように
楽しさだけでは踊れなくなる日がやってくるのだろうけど、
今は本当に楽しく踊ってます。

来年の5月にも舞台に出ることが決まっていて
また新たな稽古が始まっていきますが、
取り合えず、打ち上げのビールの美味さ目当てに
いっちょ頑張ってみようかと・・・。
# by egodance0254 | 2011-11-08 22:21 | miscellany.
流されない暖かな音
先週、OWL CITYのライブに行ってきました。

昨年のライブは仕事で行けず、
当分来日しないんだろうなと思っていたら、まさかの翌年来日。

飛びつくようにチケット購入しましたが、とても素晴らしいライブでした。

アダムの曲は、エレクトロを用いて何故こうも暖かいのか?
多分、この人は音で遊ぶ事が大好きだったんだろうと思う。子供のときから。
流行に流されず、好きなことをやってきた結果がこの音なんだ。


でも、生で見ても、アダム、本当にメッシに似てる。


# by egodance0254 | 2011-10-27 22:13 | miscellany.